腫瘍科Tanuma Animal Hospital

乳腺腫瘍

乳腺腫瘍とは、犬猫の乳腺部分の皮下、皮膚に腫瘍ができる皮膚腫瘍の一つであり、比較的によく見られる病気です。
シーズー・マルチーズ・ミニチュアダックス・ヨーキーなどによく見られますが、その他の犬種、猫でも発生します。1歳前後が発生のピークと言われていますが、早い場合は5歳未満で発生する事もあります。
 
統計によると、犬に発生する乳腺腫瘍には良性・悪性がありますが、それは半分半分と言われています。それに対して猫の乳腺腫瘍は約90%が悪性です。 悪性腫瘍の確定診断は病理組織検査にゆだねられますが、腫瘍の成長速度が速く、短期間で大きくなり、炎症・転移などを起こす傾向が強いです。いずれの腫瘍についても早期に発見し摘出する事が、治癒率を高めることに繋がります。

  • 手術の方法は

    ①部分切除 ②領域切除 ③全切除
    に分けられます

猫の乳腺腫瘍については、小さいものであっても乳腺癌の確立が極めて高いので、転移・全身状態の悪化などが見られていない猫については、片側全摘出・両側全摘出手術が進められます。
手術を行うことで、生存期間を延ばす事が出来るというデータが示されています。 犬ではその腫瘍の数・大きさ・場所などにより手術方法の選択がされます。また補助療法として、避妊手術の効果が認められています。
 
乳腺腫瘍は高齢の動物に発生する事が多い疾患です。そのため当院では、手術前より痛みのコントロールを行い、適切な麻酔管理と素早く正確な手術を実施し、術後の動物の負担を最小限に抑えることを目指しています。
 
また手術部位に極力ドレーン装着をしないでいいように手術を行います。それにより術後の動物が非常に清潔に管理でき、退院後の飼い主様の負担も軽減されます。
 
手術後の管理としては、合併症の予防(漿液腫、感染、出血など)・痛みのコントロールが必要となります。 癌がいつできるか、どうして出来てしまうか、それはなかなかお答えする事は難しい事です。 しかし乳腺腫瘍の発生の予防には早期の避妊手術が有効な事は確かです。1歳前後で手術を受けることによりその発生を大幅に抑えることが出来ます。 しかし2歳を過ぎてからの手術ではその発生を抑える効果は減少し、ほぼ無くなってしまいます。
 
もし出産を望まれないようであれば、避妊手術を強くお勧めします。
 

乳腺腫瘍の原因

乳腺腫瘍発生の原因については、ホームページトップの犬の病気・猫の病気大辞典をご覧ください。

乳腺腫瘍の予防と治療

どのような腫瘍でも早期発見、早期治療が原則となります。月に一度はおなかを触りしこりの有無を確認することが重要です。 また早期の避妊手術が腫瘍発生の最大の予防になると言われています。ぜひ2歳未満の避妊手術をお勧めします。
乳腺腫瘍の外科的治療には、部分摘出・領域切除・片側乳腺全摘出・両側乳腺全摘出があります。 腫瘍の範囲・大きさ、動物の種類・年齢・状態により手術方法を選択します。 乳腺腫瘍は高齢の動物に起こる可能性が高いため、当院では手術前より痛みのコントロールを行い、また手術時間を極力短くすることで動物の負担を最小限に抑えています。
また手術部位におけるドレーンの装着を極力行わないことで、退院後の動物の管理が非常に清潔に、そして楽に行えるようにしています。

口腔内腫瘍

犬猫の口腔内腫瘍は良性、悪性問わず非常に発生する部位です。
好発部位は歯肉が一番多く、次に口唇や頬、舌や扁桃などにも発生します。
口腔内腫瘍は、犬では全腫瘍の約6%を占め、猫では3%占めていると言われています。その中で、犬は約90%が悪性腫瘍で多い順に悪性黒色腫(メラノーマ)、扁平上皮癌、線維肉腫が多くあります。
一方猫では扁平上皮癌の発生が最も多く、次に線維肉腫が好発します。犬の悪性黒色腫は肺などの臓器に高い転移性があり、腫瘍のできる場所によって進行度も様々です。



口腔内腫瘍が起こりやすい年齢、犬種

基本的にどの種類の腫瘍も発生率にオス、メスの差はなく中〜高齢に多く見られる傾向があります。
好発犬種はプードル、ダックスフンド、コッカー・スパニエル、ゴールデン・レトリーバーなどと言われています。

症状

・口臭、よだれが多い
・口からの出血
・食べ物が食べづらそう
・顔が腫れてきた
・嚥下困難
・体重減少 など

検査、診断

最初に視診、触診を行い腫瘍の色、大きさ、発生部位などを確認します。そして、レントゲン検査をして腫瘍が転移していないかも確認します。
診断については、FNA(針吸引生検)にて簡易的な細胞診断を行うか、麻酔下で腫瘍の組織生検をし病理組織検査を行う事で良性または悪性の診断をします。

治療、手術

口腔内腫の治療は手術による外科的切除が基本です。早期に発見し手術を行うことが理想です。
腫瘍の場所、大きさによって手術の難しさが変わってきます。また、場所によっても手術方法が異なります。
顎の骨まで浸潤している場合は周囲の組織や顎の骨も一緒に切除します。舌の動きが阻害されなければ広範囲な切除が可能です。しかし骨も含めた広範囲な切除だと顔面が変形する可能性があります。

手術以外の治療としては、進行を遅くし、再発や転移防止とした化学療法(抗がん剤)や放射線治療があります。
化学療法は単独での局所コントロールは困難ですが外科手術との組み合わせて行うことで効果を示します。転移防止や腫瘍の増大を遅らせる可能性があります。放射線治療は痛みや出血を抑える局所のコントロールには有効な治療法です。
放射線治療のみでの根治は難しいことが多く外科手術と組み合わせて再発防止や腫瘍の縮小を目的とした緩和照射など利用方法は様々です。ただし、放射線治療は大学病院や腫瘍科がある動物病院など受けられる施設が限られてきます。

術後

術後は数日様子を見させていただきます。そして、悪性腫瘍の場合は飼い主様と今後の治療の流れを提案させて頂きます。

眼瞼腫瘍

犬の眼瞼腫瘍

犬の眼瞼腫瘍は性別に関係なく、平均で8歳~10歳齢の高齢犬に多くみられます。
乳頭腫(良性の腫瘍で、皮膚や粘膜の表面の細胞が盛り上がって増幅するもの)や組織球種(皮膚にできる組織球という細胞の種類の腫瘍)は若齢でも発生します。眼瞼ではマイボーム腺に関連した腫瘍が最も多くみられます。
犬の眼瞼腫瘍は下眼瞼よりも上眼瞼に多くみられ、ほとんどが良性です。

《多く発生しやすい犬種》
ビーグル、シベリアン・ハスキー、トイ・プードル、ラブラドール・レトリバー など
しかし、どの犬種でも発生します。

猫の眼瞼腫瘍

猫の眼瞼腫瘍は犬に比べて発生頻度がかなり低く、高齢で発生することが多いです。
眼瞼腫瘍の発生頻度は上眼瞼と下眼瞼で差はほとんどありませんが、目頭側に多く発生する傾向があります。
猫の眼瞼腫瘍としては、扁平上皮癌が一般的に多くみられます。

(文献22、29より引用、改変)

症状

上眼瞼は開け閉めすることによって角膜の大部分の保護、下眼瞼は、涙液の貯留をになっております。眼瞼腫瘍が拡大することで眼瞼炎、瞬目不全(瞬きがうまくできない)、角膜への接触による障害が生じます。
これらの障害によって、流涙(涙があふれて涙目になります)、眼脂(目ヤニ)、結膜充血、角膜混濁(角膜が濁ること)、角膜の血管新生(もともとある血管から新たな血管枝が分岐して血管網を構築する生理現象)、色素沈着などがみられます。

眼瞼腫瘍切除術

ほかの部分に発生する腫瘍の切除と同様に、眼瞼腫瘍も大きめに取り、腫瘍全体を切除する必要があります。しかし、眼瞼には眼球の保護や涙液の分泌と排出といった重要な役割があるため、腫瘍があるからといって眼瞼全体を切除するようなことはできません。
眼瞼腫瘍切除においては、腫瘍をどのように切除するだけでなく、どのように眼瞼を再建するかを考慮して術式を選択することが重要です。

眼科器具


1.目の周りの毛を刈り、洗浄します。

2.腫瘍の大きさに合わせてメスを使い、腫瘍部分よりやや多きめに切開していきます。

3.切開縁に合わせて、腫瘍を切除します。
→切除した組織は病理組織検査に出し、悪性か良性か判断していきます。

4.縫合していきます。

腫瘍切除後に眼瞼欠損や眼瞼縁の不整が存在すると、流涙、瞬目時の上下の眼瞼縁の接着不全による涙液膜形成不全といった眼表面の障害が生じます。そのため眼瞼腫瘍はできるだけ小さい間に切除することを推奨します。
腫瘍が大きくなると、眼瞼腫瘍切除による眼瞼の欠損領域も大きくなり、術式も長時間を要したり、二度の手術が必要になったりすることもあります。また、眼瞼縁を欠損する範囲が大きいほど、眼瞼の機能低下や再建後の睫毛乱生などによる角膜障害などの合併症も生じやすくなります。

術後

眼瞼腫瘍を切除した後には、傷を保護するためにエリザベスカラーを装着します。

 

当院の手術実績一覧

診療案内・各種サービス / service

  • 診療カレンダー
  • ペット検診
  • 歯科診療
  • ワクチン接種
  • 小型犬・猫の橈尺骨骨折
  • ペットホテル
  • トリミング(grooming garden)
  • 犬の病気・猫の病気大辞典

コンテンツ / contents

  • スタッフコラム
  • グッズ・商品紹介
  • トリミング掲示板
  • パピー教室
  • 輸血犬募集
  • 求人情報
  • T-POINTが貯まります。